発達障害についての絵本を探しました(長文です)

Autism
Photo credit: Beverly & Pack / Foter / CC BY

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いつもと違い、重い話です。長文です。

門外漢ですが、発達障害のお子さんと接する機会の多い職業です。

先日、ある発達障害の幼児(A君とします)の保護者からお話がありました。

”子どもとスーパーに行ったら、クラスメートのお子さん(B君とします)と保護者の方に出会いました。
するとB君が保護者に「あの子(A君)は赤ちゃんなんだよ。だからぼく、お世話してるんだ」と言いました。
悪気はないことはわかります。現にうちの子はB君にとてもお世話になっているようです。
でも…切なくて。”

※当初、最後の「B君」を「A君と記していました。私の転記間違いです。意味が通じなくなりませんね。申し訳ありません。コメントでのご指摘ありがとうございました。

考えさせられました。

私が関わっている子ども集団には、A君だけではなく発達障害のお子さんやその傾向を持つお子さんは少なからずいます。それ以外にも生活に困り感を持つお子さんも。
B君にかぎらず、周囲の子どもたちはそのような子どもたちをはやし立てたり蔑んだり、ハブったりすることはありません。困り感のある子どもたちを「なんでもなく」助けたりする姿がありました。
幼児ならでは、なのかもしれません。実際、小学校ではなかなかそうは行かない現実も見ています。
でもこの集団では、関わっている大人たちが、障害のお子さんへも健常なお子さんへもしっかりとしたポリシーを持って接していることも、そういう「空気」を作っているのだなあと感じていました。

でも・・・
A君の保護者の方のお話を聞いて、「私は今の子どもたちの姿に満足しているのではないか。もっとできることはないか」と思ったんです。
B君の言葉には、Aくんを思いやる気持ちがにじんでいます。実際、普段の生活や遊びの場でも、B君はA君にちょうどいい援助を当たり前のようにしています。
でも、もしかするとB君の「赤ちゃんだから手伝ってあげている」という意識は、「A君の方が自分よりも下」という意識の裏返しなのではないか。
健常児者と障害児者(にかぎらずどの子も)が共生するということは、憐れみとか同情とかではなく、誰もがお互いの個性を認め、その存在自体を尊重し、愛し、助けあうことなのではないか。

(正直いって、そのとき私は焦っていたのだと思います)

そこで、その思いをなんとか子どもたちに伝えたいなあと考えました。
もちろん私たち大人がそのような姿を見せていくことが基本ですが、ちょっと子どもたちにお話ししてみようかと。
でも言葉だけでは伝わりにくいので、なにかよい絵本はないか。

同業者や仲間たちに聞いてみました。
でも誰も知らない。

身体的障害については

さっちゃんのまほうのて (日本の絵本)
403330410X
たばた せいいち 偕成社 価格 1296円(記事掲載時)

をはじめとして有名な絵本がありますが、精神的な障害については探せませんでした。

そこで、とてもお世話になっている研究者に「助けてメッセージ」を送りました。
すると、一冊ご紹介いただけました。

たっちゃんぼくがきらいなの―たっちゃんはじへいしょう(自閉症) (いのちのえほん)
4265006124
さとう としなお,みやもと ただお 岩崎書店 価格 1720円(記事掲載時)
現在絶版のようで、Amazonでは中古本が売られています。

そのものズバリです。
しかし手放しで喜んだ私に、その研究者は以下のようなアドバイスを送ってくださいました。


障害の理解っていろいろなレベルがあります。特に以下のことに気をつけたいです。
・〇〇障害のことをわかろうとするのか?
・〇〇くんのことをわかろうとするのか?
・そもそも、だれにでも得意なことそうでないことがあることをわかろうとするのか?
以上をよく考え、つまり、必要性と効果を考えて行う必要があります。
絵本を使う良さもあるとは思いますが、絵本のたっちゃんとうちのクラスの〇〇くんは同じなの? という誤解が生じるか? その反対に、たっちゃんはたっちゃん、〇〇くんは〇〇くん となってしまうか? どちらにしても絵本だけではとてもリスクが高いです。
幼児期にできるのは、お互いのことを少しでも知ろうとすることであって、障害を知ることではないように思うのですが・・・


この時点で私は、彼のおっしゃっていることがよく理解できませんでした。
「そりゃその絵本の使い方次第だろう。この絵本を元に、お話をしたり子どもたちと考えていけばいいんじゃないの?」と。
しかし、絵本が届いて一読してみたら、彼のアドバイスの意味がとても良くわかりました。
この絵本、彼の言葉を借りれば「発達障害(児者)のことをわかろうとする」ための本でした。


あらすじ
たっちゃんは手をつないでもすぐに逃げちゃう、いつも洗面器を回している、奇声を上げる。
お母さんの育て方が悪かったのか?
そうじゃない。脳の深いところが何かの拍子でぎくしゃくして、相手の気持がわかるアンテナもぎくしゃく、自分の気持もうまく伝わらない。
たっちゃんはちょっと変わっているけれど、きみと遊ぼうとしないけれど、決してきみを嫌っているわけじゃない。


こんな感じです。
「障害を理解するための本」「障害の子を理解するための本」ですね。
これはこれで名作だと思います。
しかしこの絵本で「だれにでも得意なことそうでないことがあることをわか」ることはできそうもありません。

また、この「たっちゃん」は、典型的な自閉症(カナー型自閉症)だと思われます。
でも、自閉症症候群(発達障害)にもいろいろなタイプがあります。というより、ひとりひとりそれぞれの個性があります。
A君も含めて、私が接している発達障害のお子さんにはカナー型はとても少なく、「たっちゃん」とはだいぶ違います。
すると、上述の研究者の方がおっしゃる「絵本のたっちゃんとうちのクラスの〇〇くんは同じなの?」という誤解が生じてしまう可能性は大いにあります。

やっと気づきました。
私は「障害についての」絵本ではなく、上の方に書いた「誰もがお互いの個性を認め、その存在自体を尊重し、愛し、助けあうこと」を感じられる絵本を探していたのでした。
「今ごろ気づくか!」と言われそうですが、この絵本と、適切なアドバイスをくださった研究者の方のおかげです。

そこで再び探してみたところ、以下の本が良さそうでした。

へんかな?
4797476567
かげやま まゆみ 新風舎 価格 1296円(記事掲載時)
残念ながら在庫切れで、中古本の販売もありませんでした。一応予約はしておきましたが。
商品の説明では

ちょっとだけ、仲間たちとちがうネコとカラス。
ちょっとちがうだけで友達もできないし、
仲間にもいれてもらえません。
そんなネコとカラスが夜の公園で出会ったとき不思議なことが・・・・・。

はせがわくんきらいや
4835440587
長谷川 集平 復刊ドットコム 価格 1728円(記事掲載時)
こちらは在庫がありましたが、発送までに2〜3週間かかるようです・・・
ここに出てくる「はせがわくん」は発達障害ではなくヒ素ミルクによって障害をおってしまったのですが、内容としては私が求めていたものに近いかも。

「へんかな?」は「変だと思われている側」、「はせがわくん〜」は「変だと思っている側」から描かれているようです。

今回絵本を探す経験をしたことで、私自身の考えがちょっとだけ深まったような気がします。
でもまだまだ浅いということは自覚していますが、この長い記事に付き合ってくださった方々が少しでも発達障害を始めとする「困り感を持っている子どもたち」に関心を持ってくださると嬉しい。


このブログはiPhone関係の記事が多めなので、それっぽく、障害児・者や関係者に役立ちそうなアプリまとめへのリンクも張っておきます。

東京都障害者IT地域支援センター
iPhone、iPad用・障害のある人に便利なアプリ一覧
Android携帯用・障害のある人に便利なアプリ一覧

自らも支援アプリを開発されているKeatonさんのブログから
子どもの学習支援・生活支援に使えそうなiPhone/iPadアプリまとめ(2014年度版) – キートン・コム Blog

ブログ記事でいろいろなアプリを紹介しています
うちの子流 支援アプリ日記



* 「発達障害」については、以下のページがわかりやすいと思います。
発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

  • 今、「障害」は「障がい」あるいは「障碍」と書くことが多くなっています。
    「害」の字が、その障害とかその人が害を及ぼすイメージと捉えられるというのが理由だと思います。
    しかし私は、「障害」という言葉を「その人が生きていく上で障害がある」という風に捉えています。また、そういう言葉狩り的な風潮は、彼らが置かれている状況をことさらきれいに見せたりしているのではないかという危惧があります。
    ですのであえて「障害」と書くことにしています。
    いろいろとご意見、ご批判はあろうかと思いますが、どうかご容赦願います。
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6 comments on “発達障害についての絵本を探しました(長文です)

  1. 大人の当事者です。疑問があります。
    特性で言葉の一部に反応してしまいました。
    赤ちゃんは、自分より下の存在なんですか?
    私は、赤ちゃんがスゴいと思います。

    だって音声言語が形付くられてなくても、赤ちゃん同士や動物やいろんなものと会話してコミニケーションしてるし、一人ぼっちではない。。嫌なことは、すぐにわすれて、機嫌がよくなる、すっきりした性質。
    私にもあったんだろか、とりもどしたい能力です。

    ところで、文章の、『現にうちのこはAくんにお世話に』はまちがってます。Bくんに、ですね。

    • 絵本の紹介
      発達障害絵本
      『学校コワイ』よつばもこ

      絵本は写りませんが、YouTube、『学校コワイ、手話よみ』、検索

      助けてくれる側の心の内なんてどうでも良い。
      生活が楽になれば。『あと少し』を本能で感じとってたすけてくれるBくん。

      B くんも自分にできることがあって、単純にうれしい。
      ただ嬉しい。

    • コメントありがとうございます。ちょっとパソコンから遠ざかっていたのでコメントに気づかずお返事が遅くなって申し訳ありません。

      「赤ちゃんがスゴイ」というのは私たちから見ればそのとおりですよね。というか、老若男女それぞれに「スゴイ」ところと「苦手」なところがあって、だからこそ認め合い、助け合い・・・
      ただ、幼児の使う「赤ちゃん」という概念は、やはり「自分より下の存在(できないことが多い)」ですね。
      一般に、障害のある人たちに対しても「できないことが多い=下の存在」と感じている人が多いと思います。
      私としては幼児に限らずみんなが、人間の「上下」を評価基準にしない世の中になってほしいと思っています。

      • 『学校コワイ』、ここ↓で買えるかもしれません。注文してみます。
        http://fromavillage.cart.fc2.com/ca3/254/

        B君、優しい子です。A君を下に見ていたつもりはなかったのかもしれません。もしかすると、B君やA君のまわりの大人が「A君は赤ちゃん(みたいにできることが少ない)だから、手伝ってあげてねと言われたのかもしれません。
        だとしたら、人間に上下をもちだした大人の責任です。その大人が「A君には苦手なことがあるよね。それは手伝ってあげよう。B君にも苦手なことがあるよね。手伝ってもらえたら嬉しいよね」と「お互い様」という意味を伝えられていたらなと思うのです。

  2. 文章が、一部まちがってます。

    子どもとスーパーに行ったら、クラスメートのお子さん(B君とします)と保護者の方に出会いました。
    するとB君が保護者に「あの子(A君)は赤ちゃんなんだよ。だからぼく、お世話してるんだ」と言いました。
    悪気はないことはわかります。現にうちの子はA君にとてもお世話になっているようです。
    でも…切なくて。”

    うちの子は、B 君にとてもお世話に
      

    コメントけしてもかまわないけど、文章の修正されてないのが、

    先日のコメントの意味がわかってもらえてないんだと、
    落ち込みました。

    • 上にも書きましたが、ちょっとパソコンから遠ざかっていたので反応が遅くなってしまいました。本当に申し訳ありません。

      ※コメントは消したのではなく、承認制にしていたので承認が遅れました。

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