【雑感】通信制大学

Clark

こんなニュースがありました。

2014.4.24 21:56
教員免許の取得忘れた教諭を採用無効に 埼玉県教委 – MSN産経ニュース

「県教委によると、一般の大学は免許取得を一括申請する一方、通信制大学は自己申請の必要がある。」

これは、「通信制大学は全部」なのか、「この通信制大学が一括申請システムを採っていなかった」のかわかりません。
私は以前ある通信制大学で非常勤講師をしていましたが、その大学のサイトには「一括申請」のシステムがあるという記述を見つけました。

◯◯大学で正科生として教職課程の履修を行い、卒業と同時に免許を取得する場合は、大学の事務局を通して一括して申請を行ないます。

これは「正科生」の申請システムで、科目等履修生の場合は個人申請なのでしょう。
記事中の男性は「一般の大学で中高校の保健体育教員免許を取得」とありますから、通信制大学では小学校免許に必要な単位を取得するために科目等履修生になっていたのでしょうか。


もちろんこの先生に落ち度があったのは確かです。でも、通信制大学というある種特殊な環境がその背景にあるのではないかとも感じています。
そこで今回の事件について、私なりにこういうことが起きた一因について考えてみました。
あくまでも限られた経験を元にした個人的な感想です。

私は通学制の大学で専任教員を務め、通信制大学で非常勤講師をしていたという経験を持っています。
通信制大学というと世間一般には「通学制大学よりもレベルが低い」と思われているフシがありますが、私の経験から言うと、そんなことはありません。
通信制大学の学生は、通学制大学の学生よりも「学ぶ意欲」の高い人が多いように感じます。
基本的にすべての授業で、単位数に応じたレポートを提出し試験を受けるというのは相当の努力と自己コントロールを必要とします。
また、対面授業のある科目では、基本的に2日間にわたり朝から夕方まで授業を受けなければなりません。
私には到底できない^^;
それでも学ぼうというのですからかなりの学習意欲です。
もちろん学習意欲の低い学生もいますが、上のような学生と対面授業などで接することにより、意欲が高まっていくことも多く見られます。

学習意欲の高い学生を相手にするのですから、教員の方もかなりの覚悟を必要とされます。
(もちろん通学制大学の教員が覚悟が少ないわけではありませんが)
私は非常勤だったので他の先生方と接する機会はあまりなかったのですが、学生たちの話を聞くと、どの先生方も真剣で学生のことを考えて授業をしたり相談に乗っているという印象でした。

しかし・・・

学生や教員の素晴らしさに比べて、事務方の仕事については疑問に思うことが多々ありました。

これは事務職員の能力の問題ではなく、通信制ならではのシステムの問題だと感じます。

通信制大学では通学制大学に比べて学生と事務職員との直接の接点が少なくなるのは当然です。
ですので学生への連絡や学生からの相談は電話やメールという手段に頼らざるを得ません。もちろん学生が事務局まで出向けば対面で話をできるのですが、仕事を持っている学生が多いのでそう簡単には出向けません。
対面で連絡したり相談を受ける場合は、学生が理解しているかどうかを確かめやすいですし、理解しづらい話は図を描いたり資料を見せたりして補うことができます。しかし電話やメールではそうは行きません。
そこに、「伝えたつもりでも伝わらなかった」ようなことがおきます。
今回の事件もそういう要因が大きかったようです。

また、通信制大学によっては学生の便宜をはかるため、いろいろな履修の仕方を用意している場合があります。
私が勤めていた大学では、対面授業(スクーリング)をメインにした「平日スクーリングコース」というのを設けていました。ほぼ毎日カリキュラムが組まれていて、何年間か通学して卒業単位を取得します。
(サイトに記述がないので、今は行われていないのかもしれません)
これはほとんど通学制と同じ学び方なのですが、通学制が認可されない場合の方便のようなものです。
他にもいくつかの学び方を用意していて、それは学生にとって選択肢が増え、とてもよいシステムだと思います。

ただ、そのように学び方のシステムが多様化・複雑化すると、事務手続きも煩雑になり、事務職員もその複雑なシステムを隅々まで知悉することが困難になり、学生へのシステム説明も曖昧になったり間違った情報を伝えてしまうことがあります。
私も受け持った学生がそのような曖昧だったり間違った情報により混乱したり不利益を被ったりした事例を見て事務方に意見をしたところ、翌年度から非常勤の職を解かれました。
(これはあくまで私の受け取り方で、大学側からは「後進教員の育成のため」との連絡でしたが)


今回の事件の男性教員は、記事による限り、教職に対する姿勢はしっかりしているというのが私の印象です。
臨時免許で5年間がんばり、そのかたわら通信制大学で単位を取得し採用試験に合格するということは、学校や教育委員会の評価も高かったのでしょう。
そういう人が大学側との意思の疎通の問題で教職の場から去っていくのはとても残念です。
大学も(通信制・通学制にかかわらず)学生のために良かれと思って作られた学びの場なのに、事務システムの不備によって学生をスポイルすることのないように、改善を重ねていただきたいと思っています。
また、不備などによって学生に不利益をもたらしたときは、変なプライドに寄りかからず、学生に誠実に謝ったり救済について真摯に対処していただき、学ぶ意欲のある人材を潰すことのないように願っています。




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